初期型のサスペンションは、当時「とにかく硬い」と評判が悪かったですよね。
とくに街乗りでは、コンフォートに設定しても突き上げを感じるほどの硬さでした。
ところが'11年モデルは、その嫌な硬さが薄れ、しなやかな乗り味に変更されています。
ノーマルモードでもじゅうぶん街乗りに耐えられるレベルです。
セッティングをコンフォートに変更すると、よりしなやかな印象に変化します。
これなら、多少路面状態が悪くても、不快な突き上げを感じることなく走行できます。すごく快適ですよ。
Rモードにすると、減衰力がアップし、ハンドリングに剛性感が出て応答性もシャープになります。
ついついコーナーを攻めたくなる衝動に駆り立てられます。
初期型のRモードは、バネレートに対して減衰力が高すぎる印象があり、サーキットを走行しても「ちょっと硬すぎるのでは?」と感じていました。
しかし、'11年モデルはワインディングなどでも十分使えそうですね。
減衰力のバンプ側、リバンプ側はもちろん、ハイスピード域とロースピード域の減衰力特性を緻密かつ絶妙に味付けし、バネレートと減衰力が高次元でマッチしている印象です。
経済的に余裕がある人やスペック至上主義の方は、最新かつ最高のポテンシャルを発揮する最新型を選択するのがベストですね。
エンジン出力は、今回試乗した'11年モデルは530psを発生しますし、最新型の'12年モデルは550psまで高められています。
発売当初の'08年モデルは最高出力480psでしたので、モデルチェンジの過程で50psアップされたことになります。
'08年モデルと乗り比べると、パワーの違いは確実に体感できます。
しかし、ワインディングを走行するレベルでは、どちらのポテンシャルも十分パワフルな印象で、パワーが劣る'08年モデルでも不満を感じることはありませんでした。
'08年モデルもチューニングすれば600ps以上発生することは容易です。
しかし、後期型は出力向上と燃費向上を両立していますので、さすが純正と思わせる仕上がりですね。
前期型と後期型の違いはバンパー形状とアルミホイールをチェックすれば一目瞭然です。
バンパー両端のフィンが前期型は1つ、後期型は2つに増やされ、LEDデイライトが標準装備されました。
アルミホイールも前期型は7本スポークに対して後期型は10本スポークに変更されています。
エアロパーツの変更によってダウンフォースが10%向上しているようですが、ワインディングを走行するレベルでは、体感できるほどの違いは感じられませんでした。
しかし、目に見えない部分の冷却性能などが確実に進化しているようです。
'11年モデルを試乗した後に'08年モデルを試乗すると、足廻りがゴツゴツとした初期の突き上げ感を感じます。
ワインディングレベルのスピード域でRモードに入れる気分にはなれませんね。
R35GT-Rの発売当初「みんなが硬すぎる」と評価しましたが、いま改めて試乗しても同じ印象でした。
発売当初、R35GT-Rのポテンスシャルはすごく衝撃的でしたが、当時777万円だったクルマが、今では400万円台で購入できる状況なんですよ。
改めて'08年モデルを試乗すると、個人的な意見としては「こっちで十分なのでは?」と思います。
こんなこと言うと新車が売れなくなりますが、'08年モデルも正真正銘のGT-Rですからね。
外装が、後期型と比較すると若干異なりますが、基本的なメカニズムは共通です。
それで後期型の中古車に比べて400万円も安く購入できるのなら、'08年モデルを購入して、気に入らない部分を好みのパーツで仕上げていくのも楽しいと思います。
この試乗車は、走行距離1万6000kmでしたが、中古車で気になるエンジン、足廻り、シャシーの劣化や走行フィールにヨレを感じることはありませんでした。
何かと酷評される乗り心地も、GTNETで乗り心地重視に仕様変更することができます。
ミッションのフィーリングも、GTNETでプログラムを変更できるそうなので、後期型との差を埋める事ができます。
確かに新型は良いですよ。
しかし「それほど違わないのでは?」とも感じます。
電化製品で例えるなら、夏モデルが冬モデルにチェンジした程度の違いです。
「いつかはR35GT-Rユーザーになりたい」と思っている人の中には、新車は無理でも400万円だったら手が届く人もいると思います。
ここから、さらに値段が安くなるには時間がかかると思いますので、中古車の購入を狙っている人は今が買い時だと思いますよ。
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