中古車買取/販売・中古車査定情報,中古車検索やスポーツカー買い取り/査定のGTNET

トヨタ、HV特許を開放へ

コラム (2019/04/08)

4月上旬、トヨタ自動車が同社の持つハイブリッド車(以下、HV)に関する技術の特許を開放する方向で検討している、というニュースが一斉に流れた。ほどなくして同社は電動化技術の特許およそ2万3740件を無償提供すると発表。HVの開発、販売を牽引してきた同社の真の狙いは何なのか。

・HV市場そのものを拡大
トヨタが次世代の自動車製造にあたり、同社の持つ技術関連の特許を開放するのは2015年以来。このときは水素で走る燃料電池車(FCV)に関する特許を無償開放している。特許の開放の背景にあるのは、同社の戦略転換であるのは違いない。このたびのHV特許の開放も、他社の参入を促進することでHV市場そのものを拡大したいという狙いが見て取れる。市場に勢いがつけば、関連部品の供給量も増え、結果としてはコスト軽減が実現する。最終的にHV製造コストが抑えられることになれば、世界市場におけるHVの普及につながる、ということだろう。

同社が開放するのは、モーターとPCU(パワーコントロールユニット)、システム制御などの車両電動化関連技術の特許技術。モーター関連はおよそ2590件、システム制御はおよそ7550件、そして充電機器においてはおよそ2200件に上る。2030年末までの期間限定だが、システム制御技術はハイブリッド技術の中の”要”であることから、かなりの英断であるように思われる。しかし、特許を開放したからといって、いきなり他社がトヨタのHVに匹敵する車両を生産できるかどうかはまだ未知数という見方もある。なぜなら、特許そのものはものを作る上での情報の一部であり、それを活かすための技術力やノウハウというものは、各社の製造ラインで構築していく必要が求められるからだ。

つまり、すぐさまトヨタに肩を並べることができるHV製造メーカーが雨後の筍のように次々と現れるのではないか、という考えは時期尚早だということ。トヨタの狙いは自動車市場におけるHVの普及を加速させることであり、同時に多くのデータを他社と共有することによってトヨタ自身も自らの技術力をより早く効率的に高めていきたいという思いがあるのだ。


・次世代エコカーは、HV?それともEV?
これからの自動車はエコカーが主流となるのは言うまでもないが、それがHVなのかEVなのかという話になれば、正直なところ本命視されるのはEVであると認めざるを得ない。それはHVの技術に着手せず、EV開発にかじを切った自動車メーカーが多かったこと、さらに自動車業界とは異なる異業種がEV製造に参入していることが理由として挙げられる。これに対し、トヨタはHV開発の一手を担っていたこともあり、EV開発においては後発隊の立場となる。そこで、今回の技術特許の開放を受けて他メーカーがHV開発の参入を開始すれば、エコカーにおける販売比率が上がり、HV技術で規制が強化されている二酸化炭素排出量を極力下げることが可能となる。また、HVに比べて航続距離が短く、長い充電時間が必要であるEVは、本格的な普及にまだしばらく時間を要するという現実問題を直視せざるを得ないため、当面はHVのほうがより実用的であるとトヨタは考えているのではないだろうか。

特許の開放にとどまらず、トヨタではHVの車両電動化システムを販売することで売上増を目指す。つまり、既存システムのサプライヤーとなり、システム購入のメーカーにはトヨタが技術支援に乗り出すというプランまで準備しているのだ。自社HV以外のHVシステムを量産することで全体的な増収が見込め、ひいてはコストダウンにつながるのは言うまでもない。

自動車産業に限らず、新たな技術を市場に出す製品に導入する際、特許に値する技術を一社の独占にすれば、その企業の一人勝ちになるのは明らか。だがしかし、さらなる進化や普及というポイントから見れば、独占することで開発スピードは遅れ、普及にも時間を要する。一方、”世の中に広く行き渡ること”こそが次なる物作りにつながる、という視点で捉えれば、特許という形での囲い込みをせずに広く提供することが正しい答えになるということなのだろう。今回のトヨタの特許開放が、この先、次世代のエコカー開発にどのような影響を与えるのか注目されることになる。



車/中古車買取査定TOPへ > NEWS Report一覧 > トヨタ、HV特許を開放へ
■無料査定 GTNETではこれまでの実績をもとにスポーツカーの高価買取を行います。
GTNETでは、新車・中古車・スポーツカー・スーパーカーなど様々な種類の車の販売・買取・査定・下取りなどを行っています。
◆中古車販売検索TOP
◆スポーツカー無料査定申込
◆新車情報
◆GTNET店舗検索
◆車/中古車買取・査定TOPへ

Copyright(C) 2008-2016 GTNET.inc All rights reserved.