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開発進む「全固体電池」とは?

コラム (2021/03/29)

カーボン・オフセットへの取り組みがここのところ加速を強めている。私たちの生活の中から様々な要素において取り組みが進むが、クルマ好きの人なら、やはり一番気がかりなのは、自動車に関わる環境への対応ではないだろうか。そんな中、最近「全固体電池」という言葉をよく耳にすることが増えた。一体、どういう電池なのだろう?

・現行のリチウムリオン電池との違いは?
3月半ば、ドイツのフォルクスワーゲン車がオンライン説明会「Power Day 2021」を開催した。この場で同社の社長自らが全固体電池搭載車両について言及。これによると、同社では全固体電池を「リチウムイオン電池の最終形態」として捉えており、現在のEVに搭載されるリチウムイオン電池と比べて「航続距離の延長」が可能となり、併せて急速充電との相性の良さを活用できると目論んでいるようだ。

この全固体電池。次世代の蓄電池に位置づけられるが、名称に「固体」とつくように、現在主流である電解質が液体であるリチウムイオン電池と異なり、固体の電解質となっている。リチウムイオンでは、液体の電解質の中をイオンが動くことで電子が出し入れされ、発電・通電する仕組みだが、液体であるため、電解質が漏れるリスクを伴う。つまり、発火のリスクが高くなるため、これを防止するためにしっかりとした容器が必要であり、その容器がどうしても大きくなってしまう。結果として、車載にはある一定のスペースを要することになる。一方で全固体電池は電解液が不要のため燃えにくく、幅広い温度域での動作が可能となり、エネルギー密度も高い。結果、ダウンサイジングが可能となり、車載には大歓迎というわけだ。

車体サイズにある一定の限度がある一方で、航続距離に応じて充電が回避できないEVでは、その時間の短縮が課題として挙げられる。燃料が不足したら、あちこちに点在するガソリンスタンドに立ち寄り、ものの5分から10分程度で給油し、満タンにすることができるガソリンエンジンにはどうやっても敵わない。しかし、近い将来、全固体電池がリチウムイオン電池から取って代わることになれば、蓄電気が2倍以上となり、充電時間も短縮できると予想されている。フォルクスワーゲン社では、先の説明会で電池の開発ロードマップや充電ステーションの拡充計画などを発表したというが、その中で「全固体電池にすることで、現行の液系電池を搭載するEVに比べて航続距離を30%長くできる」と説明したと伝えられている。また、現行のEVで充電には25分ほどの必要時間が、およそ半分の12分で済むようになると話したようだ。

・早ければ2020年代後半、実用化に!?
リチウムイオン電池に取って代わるであろう全固体電池が、この先のEV開発に大きな弾みを付けてくれるものとして考えられるとはいえ、まだまだ開発は道半ば。実用化されてひと足もふた足も先に量産されたリチウムイオン電池もどんどん改良が進み、当然のことながらパフォーマンスも向上している。加えて量産により低廉化したリチウムイオン電池との競合に打ち勝つには、開発を加速させ、コストパフォーマンスに優れた量産品の全固体電池を提供できるようにならなければならない。

ちなみに、全固体電池に関する特許は、日本が37%を所有しているという。これは世界一のレベルとなる。現在、世界の蓄電池の市場規模はおよそ8兆円だが、今後、2030年には19兆円にまで成長するのではないかと言われていることもあって、政府は補助金を出し、研究開発をバックアップしているという。実際、日本企業としては、造船業の日立造船が千ミリアンペアという世界最大級の容量の電池を開発。このほか、村田製作所、TDK、トヨタといった大企業がこぞって全固体電池開発に取り組んでいるのだとか。しかし、実際には車載用の全固体電池としての実用化にはまだ至っておらず、まだまだ小型の電子機器用に留まっているようだ。その一方、トヨタはパナソニックとのタッグで2020年代前半の実用化を目指しているとも言われており、日産も2020年代後半に実用化する意向を示しているようだ。ちなみに、前出のフォルクスワーゲン社はアメリカの全固体電池開発メーカー「クアンタムスケープ」と共同で開発を進めている。

いずれにせよ、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしようと政府が掲げる目標設定年は2050年。まだまだ主流のガソリン車から排出される二酸化炭素量は全体の15%を締めており、走行中のクルマから排ガスを出さないEVへのシフトを急ぐ政府の”事情”が垣間見える状態ともいえる。もちろん、日本としては次なる”基幹産業”のひとつとして全固体電池開発を強化し、ビジネスモデルとして世界をリードする産業に仕立てていきたいという狙いもあるだろうが、新世代の蓄電池開発が進み、EVへの搭載が実現することに合わせて街中のインフラ設備への投資もしっかりと進めてもらいたいもの。スムースな「充電」なくして、ユーザーの利便性を高める術はないのだから。



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